社員がすぐ辞める、定着しない場合に見るべき視点
会社の右腕幹部が辞めるのと同じく、新入社員がすぐ辞める、社員が定着しないなどの問題も経営者をしていると考えていくべき点です。
「給料面や待遇などはどうか」
「コミュニケーションはしっかり取れていたか」
「社員のニーズは何だったか(結果辞めた後でも)」
もちろん既に経営者であるあなたはされていることでしょう。
とにかく俺の言うとおりにしろ
これを社員の方が読んでいたら驚かれるかもしれませんし、「あー、そうだろうなとは思っていたよ」と言われるかもしれません。
大体の経営者が考えていることは、「社員の生活」ではなく、「自分のやりやすい方法に社員が合わせてくれ」です。
決定権が大きければ大きいほど、その傾向は強くなります。
短期的にはそれでもいいと思いますし、中長期的な視点でも、
「伝え方さえ間違えなければ」
それでよいと思っています。
ただ、ここで大事なのが、「伝え方」です。
先に答えを言っておくと、人は聞いた言葉をそのまま覚えていませんし、自分なりの解釈が入りますし、実行するときにも自分の解釈が入りますし、経営者であるあなたの100%期待通りに動くかどうかは分かりません。
としたとき、大事なことが次のことになります。
大事なことや繋がりは視覚化する
結局人は、「自分の聞きたいことのみ、聞きたいように聞いている」というのが正直なところです。
右腕幹部が辞めるのも、新入社員が辞めるのも、全て
意思伝達が円滑ではない |
ためです。あるいは、意思伝達の途中(伝言ゲームの途中)で、途切れる場合も考えられます。
結論を言うと、「意思伝達の方法が誤っている」「意思伝達の方法がシステム化されていない」「意思伝達の方法に多大なコスト(例えば何回も同じことを言わないといけないなど)がかかる」ため、意思伝達がうまく行われず、結果的に、親友社員は辞めたり、定着しないのです。
また社長がやりやすい方法でやることと、この意思伝達のシステムを確立することは一切矛盾しません。
対処法
これはコロナ対策のイラストですが、非常に分かりやすいです。
一目で「手をこまめに石鹸等界面活性剤で洗えばコロナは防げるんだ」ということが分かります。
ということで、まずは
全体像を把握するためのシェアマップ |
が必要です。人は全体像を見て自分の役割を理解出来るところがあるからです。そのためにシェアマップという形で視覚化したり、一緒に描くことには意味があります。
わが社では、プロジェクターにシェアマップソフト搭載のパソコンを接続し、一緒に見ながらシェアマップの繋がりを理解してもらうことが多いです。
それから次のステップとして社員の役割だけのシェアマップを描きます。
全体像を分かっていない社員は辞めやすい
なぜ社員が辞めるのか定着しないのかは、ある程度理由が絞ることが可能です。
1.自分が辞めても大丈夫と責任感が乏しい
2.迷惑はかけたくないが、顔の見えない(業務のつながりのない)誰かのことは考えられない
3.最初から会社への忠誠心を求めるのは酷
と言えます。
要は「業務における会社内の自分の役割が分からない」「誰に迷惑がかかるか分からない。自分が辞めるなら、どういう準備をしておけば次の人が困らないか分からない」
だから、ある日突然会社を辞めるのです。
でも、これを聞いて経営者のあなたはこう思ったのではないでしょうか?
「わざわざシェアマップを作るとかめんどくさい」
気持ちは分かります。でも何回も同じことを言うコスト(時間やエネルギー)と、1回描いただけで伝わるコストはどちらが少なく済むでしょうか?
言うまでもなく後者です。なぜならシェアマップを社員が手元にさえあれば、何回も見返して、業務内容について振り返りが出来、そのときのコミュニケーションを定着させることが出来るからです。
そこのところを「めんどくさい」の一言で片付けることは、経営者として視点が狭いと言わざるを得ません。
副次的メリット
まず業務はその日までで終わるものではなく、今後も続いて行きます。
人員が増える、業務を拡大する、取引先が増える、色んな拡大させるべきことがあります。
その際にシェアマップがあると、社員も次の展望を予測し、共有しやすいのです。
またこれは僕個人の考えですが、一社員でも会社の売上に対する見方が変わるのが大きいと思います。
自分の報酬について言及するのもありですが、自分の業務が今回のプロジェクトのどの位置にあり、どのくらいの貢献度なのかが分かるようになります。
そうすると、自分の報酬アップ要求があったとしても、それは成果に基づくものなので、会社として一切損がない提案になるからです。
ただし、それを社員の言い分を全部無視してすっとばすと、社員は辞めてしまうかもしれません。
一旦は「分かった。一旦預かっておく」と対処するものですね。
そして最後に1番大きいメリットが、共通言語が生まれるため、以降の話が早くなる、です。
シェアマップがあれば、「事前に○○社との取引について」「社員Aの業務について」など、お互いに準備をした状態で話し合いの場が持てます。
もちろん経営者であるあなただけが伝える内容を持っている方が、話し合いの場は有利に進めることが出来ます。情報量がなにせ違いますから。
相手をやり込めるためなら、情報に差があり、経営者側に情報が多い方がはるかに有利です。
しかしこれはこれで社員が辞める一因になります。
社員は言い分を聞かせるための道具ではないのですから。
ちゃんと経営者と社員という関係性を築きながらも「相手の言い分を対等に聞き合うこと」を潜在的には望んでいます。
(中には望んでない会社の歯車であることを望む人も居ます)
そのため一方的な話し合いは経営者のマスターベーションになるため、それを社員は見せられると、辞めてしまうということです。
シェアマップを一緒に作る、見るということは、それだけで、「会社のここを、大事なあなたに知ってもらいたいんだ」というメッセージも含んでいます。
是非ここを間違えないようにして、シェアマップをうまく活用してください。