日本の経営において、顧問カウンセラーが根付かなかった理由はいくつか考えられます。
まず、日本企業の経営文化は、個人よりも集団や組織が重視される傾向があります。このため、経営者自身がカウンセリングを受けることを、自己犠牲的な行為として捉える傾向があることが挙げられます。また、カウンセリングを受けることによって、弱点を認めることになると考える人もいます。
さらに、日本企業においては、経営者の中には自己完結的な考え方を持つ人も多いため、外部からの支援を受けることに抵抗を感じる場合があります。また、顧問カウンセラーに依存することによって、自分で判断を下す能力が鈍ってしまうという考え方もあります。
加えて、日本企業においては、カウンセリングに対する認識の違いもあります。欧米などでは、カウンセリングは心理的健康の維持や向上の手段として広く認知されていますが、日本では精神疾患の治療に対するものとして捉えられる場合があります。このため、カウンセリングを受けることが「病気を持っている」とみなされることがあり、経営者自身が健康であることをアピールすることが求められる日本企業において、顧問カウンセラーを抱えることはネガティブなイメージを持たれることがあります。
以上のように、日本の経営に顧問カウンセラーが根付かなかった理由には、経営文化や認識の違い、個人主義的な考え方などが挙げられます。しかし、最近ではメンタルヘルスの重要性が高まり、カウンセリングを受けることに抵抗を感じない人が増えてきています。今後も、企業が従業員のメンタルヘルスケアに取り組むことが求められる中で、顧問カウンセラーが一つの選択肢として注目されることが期待されます。